第22回 粘菌生活

第22回 粘菌生活   初めての経験

今日も目が覚める。
腰が痛い。
起き上がる前に、身体をくねくね動かす。
どこをどうしたら痛むのか。
痛まないのか。
確かめる。
立ちあがって、戸をあける。
東の空を見上げて朝の空気を吸う。

日めくりをめくる。
歯を磨く。
身体と顔を洗う。
下着と腹巻、シャツ、靴下を身につける。
髪をとかして結ぶ。

コーヒーを入れて飲む。
食器を洗う。
食器をふく。
食器をしまう。
ふきんを洗う。
ふきんを干す。

おまじないを筆で和紙にかく。
今日一日の無事をお祈りする。
靴を磨く。

日常。
毎日同じことをする。
毎日同じことをするからこそ、毎日同じではないことが分かる。

奥歯と耳から後頭部にかけた痛みがなくなった。
今日は腰を曲げると脚先に痛みが走る。
髪の毛を結ぼうとする腕が痛む。
階段を下りる膝に痛みが走る。

生きることは初めての連続。
生まれるのが初めてなら、育つことも、老いることも初めて。
初めての経験ばかり。

次になにが起きるのか。
先のことは分からない。
心配しても始まらない。
その日その日、その時その時にやりくりする。

2015年の大晦日がやってくる。
その日暮らしの粘菌生活。

一色

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一色さま、本年最後の「粘菌生活」ありがとうございました。

                   小樽書房スタッフ